文責:ヤダ
危険科学部 技術班のヤダです。
現在、世界史カードゲーム(仮)を作っている最中ですが、このカードゲーム内に登場する人物カードの能力は、歴史上の事実や説話をもとに作られています。
今回は、そんな人物カードの能力を追っていきながら、歴史上の人物について学んでいただけたら、と思います。
今回、解説していくカードは、第Ⅰ期より「クセルクセス1世」になります。
「クセルクセス1世」の紹介
それでは、まずクセルクセス1世についての情報を見ていきましょう。
クセルクセス1世は、アケメネス朝ペルシアの第4代の王で、ダレイオス1世の子であり、その跡継ぎにもなります。
前5世紀ごろに活躍した人物で、ギリシアへの遠征時に、彼が率いた軍はスパルタと激戦を繰り広げました。
また、その時にスパルタの王「レオニダス1世」が命を落とした話や、その後のサラミスの海戦で「テミストクレス」率いるギリシア海軍に、軍の規模をひっくり返すような大敗を喫したのは、世界史の話の中でも印象深いのではないでしょうか。
こうした背景から、特に欧米圏では、クセルクセス1世は「悪役」のイメージが強いように私は感じます。
実際に、映画「300(Three Hundred)」では、「レオニダス1世」率いる兵数わずか300のスパルタ軍が、侵略者であるクセルクセス1世に立ち向かうような構図で話が進んでいきます。
クセルクセス1世の紹介はこのくらいでしょうか。
それでは、次に、私たちが今制作しているカードの方を見てみましょう。
「クセルクセス1世」の人物カード
では、以下に「クセルクセス1世」のカードの詳細を示します。
上から「名前」、「戦力」、「政治力」、「属性」、「能力」になります。
(※表記は開発中のものになります)
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名前:クセルクセス1世
戦力:65
政治力:75
属性:アケメネス朝、権力者、皇帝・王・指導者、ゾロアスター教、ペルシア
能力:
・“テルモピュライ”
場の、自陣と同盟陣や友好陣以外の陣地に『レオニダス1世』がいた場合、それをそのプレイヤーの「社会」に表向きで送る。いなかった場合、「超越者」属性または「皇帝・王・指導者」属性をもつものを除く「ギリシア」属性のカード3枚をそのプレイヤーの「社会」に表向きで送る。
・“サラミス”
上記の行動を全て終えた後、このカードを山札の一番下に戻す。
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それでは、上から順に見ていきましょう。
クセルクセス1世の「戦力」ですが、こちらは「65」という数値になっています。
この数値はどのくらいなのか、同じく第Ⅰ期から比較対象を出すと、「アレクサンドロス大王」が「80」、「カエサル」が「70」、「安禄山」が「60」といったところです。
クセルクセス1世は、前述のとおり、テルモピュライの戦いで「レオニダス1世」を打ち破った功績があります。
しかし、サラミスの海戦での敗戦を見るに、軍の規模は確かではあるものの、用兵術において他を圧倒するような能力があったようには感じませんでした。
よって、「65」という数値に落ち着いたという具合です。
続いて、「政治力」ですが、こちらは「75」という数値となっています。
こちらも第Ⅰ期から比較対象を出すと、「ヴィルヘルム2世」が「65」、「アレクサンドロス大王」が「70」といったところです。
アケメネス朝ペルシアでは、国教を決めませんでした。
というのも、アケメネス朝ペルシアの領土は、東はインダス川から、西はエジプトまで、小アジアを覆いつくすようなほどの広大なものでした。
クセルクセス1世はゾロアスター(拝火)教を信仰していたものの、これを国教とすることはかなり難しいことだったかと思います。
しかし、クセルクセス1世は、宗教の力を大きく用いることをせず、この広大な領土を治めました。
加えて、クセルクセス1世はバビロンで起きた反乱を鎮圧した実績もあります。
これらの観点から、「75」という数値になりました。
さて、能力についてですが、「テルモピュライ」については、「レオニダス1世」を討ち取ったこと、ギリシア陸軍に壊滅的な被害を与えたことをイメージし、人物カードを亡き者にするその脅威で表現することにしました。
「サラミス」については、そのままで、「テミストクレス」に大敗を喫し、ギリシア遠征を失敗したものとして撤退した様をイメージしました。
ライターのひとりごと
さて、今回は、私たちの制作している世界史カードゲーム(仮)と世界史の学習内容を組み合わせて、「クセルクセス1世」について学んでいきました。
ちなみに、勝手に私が気になったことなのですが、クセルクセスってほかに存在しそうですよね。1世っていうくらいですし。
…と思って調べてみました。するとですね、どうやらクセルクセスは他にも「クセルクセス2世」が存在するらしいです。
彼の実績、なにかあるかなーと思ってわくわくしながら見てみたんですが、どうやら「即位から1か月半くらいで政敵に暗殺された」だけらしいです。どうしてこんなに差がついてしまったのか…
またですね、クセルクセス1世という人物の紹介の部分で記述しました「300(Three Hundred)」という映画ですが、ペルシア軍があたかも悪魔の軍であるかのように描かれています。いや、ホントに。
興味のある方はぜひ見てみてください。世界史初学者のとっかかりに、世界史マスターのオモシロ教材になってくれるやもしれません。
「クセルクセス1世」の紹介はこのあたりとさせていただきます。
今回の記事で世界史および世界史カードゲーム(仮)に興味がわいてきたな、という方が1人でも増えたら嬉しく思います。
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